2012年3月8日

輪島のいいもの

さて、人生、初輪島(笑)。


輪島ならではの「オール輪島塗の会議室」に感動した会議の後は、飛行機が1日2便しかなくて一泊せざるを得ないので、輪島唯一(?)のビジネスホテル「ルートイン」へ。

このホテルは「輪島マリンタウン」という海浜公園の端にあって、部屋の窓からは目の前に日本海と海沿いの集落の明かりをのぞむことが出来ます。

有名な「輪島の朝市」からもほど近くて、輪島観光の拠点になっているホテルのようです。




2日目の朝、朝食をとってから出発の集合時間までの短い時間に、ちょこっとだけその朝市を見に行ってみました。



朝市のある通り周辺は観光スポットになっているらしく、「朝市通り」という名前ですっかり町並みが整備されています。

TVとかで見るような「ひなびた漁村&素朴な行商のおばちゃんたちの屋台」のイメージとはちょっと違う感じかな?

で、「朝市」だからうんと早い時間からやっているのかな、と思ったら(だから寝坊してあわてて飛んでいったんですけど・・・)、8時くらいでまだ屋台がほとんど開いてない・・・(゜ロ゜屮)屮

聞くと、どうも屋台のおばちゃんたちの高齢化で冬に朝早くから出てくるのが辛くなってきちゃってるとか・・・?

この町並みを見ていると、私にはどうも単に観光客の来やすい時間に合わせているだけのようにも思えるんですけどね。




真偽のほどはともかくとしてつらつら通りを歩いていると、この通りはやはり観光客が多いのか、屋台の後ろに並ぶ商店は輪島らしく「輪島塗」のお店が多くて、その間に和菓子のお店やおみやげ品のお店が並んでいる感じです。


その商店の前の路上に朝市の屋台が並ぶのですが、もちろん圧倒的に海産物が多そうですけど、その間にやはり輪島塗のお箸とかストラップとかの屋台も並んでいる感じ。


そんな屋台をのぞいていたら、商売上手なおばちゃんにしっかりカニを売りつけられそうに。


輪島は、美味しいカニで有名です。

だから、一瞬買おうかな・・・と思ったんですが、その日も1日スケジュールが詰まっていて、午後の便で東京に帰るのにそれまでずっと持って歩くのもジャマだし恥ずかしいな、と思ったので、買ったり選んだりしてる時間がないから、と(実際なかったし)集合場所に逃げてしまいました・・・(^◇^;)

で、その話を今回の旅でずっとお世話になっている塗師屋の親方さんに話したら、「それは、うっかり買わなくて正解だよ!」


私たちは、輪島漁港のすぐそばで地元のおばちゃんたちが品物を持ち寄って屋台で売っている「朝市」なら、漁港で朝採れとれの新鮮な魚介類を売っているんだろうな・・・と思ってしまいがちなんですが(そして、干物なんかは実際、地元のものが多いようなんですが)、ここで売っているカニは地元産ばかりではなくて、どうもロシア産のものも結構あるということのようなんです。

ロシア産の場合、「採れとれ」どころか冷凍して空輸されてきたものになるので、採れてから3~4日たっていて身が細っちゃってるので「食べるとこなんかないよ!」

なんでも「カニ」というのは捕まえると餌を食べなくなってしまうので、どんどん痩せて肉が細くなってしまうんだそうで、そんな「カニ」を地元では「おつゆのカニ」(お味噌汁の出汁にするカニという意味)と呼ぶんだそうです。

だから、本当に地元漁港で採れとれの魚介類を買いたいなら、そういうものを売っている店を地元の人に聞いて行かなきゃだめ、ということです。

でも、そんなこと言われてもフツーの旅行者にはわからないし、難しいよなぁ・・・




その、「輪島で採れた、輪島ならではの魚介類」。


その前の日の夕食、その親方に「同級生がやっている居酒屋さん」に連れて行ってもらいました。

「居酒屋 梅の家」。ここにも「かに」と書いた幟が・・・(笑)




玄関を入ると、いきなり輪島らしく漆塗りの家紋もいかめしい頑丈な板戸のある土蔵風の出入り口が・・・

いや、本当の土蔵を活かして建物が造られているみたいなんです。

入ると中はつやつやの板の間に、太い梁。部屋の隅にはこれまた輪島らしく、美しい漆塗りの衝立と祭り提灯。

親方いわく、お祭りの時には塗師屋のお弟子さんたちはこの提灯を担いで町中を練り歩くんですが、相当重いのでかなりの重労働だったんだとか・・・



さて、輪島ならではの美味しいもののご紹介を、親方にお願いしました。


やっぱり、冬の日本海・・・といえば新鮮な魚介類!っていうのが、首都圏にいる私たちのイメージですよね。

出てきたものも、イメージどおりに魚介類メイン。

まずは、お刺身の盛り合わせ!寒ぶりや甘エビ、鯖のお刺身!

普通私たちは、鯖は酢でシメるものと思ってるんですが(北陸の方は押し寿司が有名だし)、本当に新鮮な鯖はシメないで普通のお刺身にして食べると美味しいんだそうです。

甘エビは普通のエビみたく大きくて、ぷりっぷり♪
こんな大きな甘エビは、うちの近所のスーパーでは絶対にお目にかかれません~(笑)




お箸で挟んでいるのは、岩海苔です!

一見どこにでもある、韓国海苔に似た海苔だなー、と思ってつまむと、普通の板海苔の3~5倍くらい厚さがあって、しかもぱりっぱり。

口に入れると、普通の海苔よりも海苔の香りがふわぁ~っと広がります。

思わずおみやげに買って帰りたくなって、どこで売っているのか聞いたら、朝市とかおみやげ屋さんのようなところでは売ってないんだそうです。

というのも、岩海苔というのは文字通り岩に張り付いている海苔で、海の中の厳しい岩場に生えているのを、輪島のおばちゃん達が波にさらわれそうになりながら一つ一つ採るので、波が荒れてしまうと収穫ができない上、海苔自体もそれほど大きくなる種類じゃないので、なかなか量を採れないのだそうです。

その上、夏場は海苔の生育時期なので、採るのは冬場だけ。

だから、地元の人が使うお総菜屋さんのようなところでしか売ってないんだということです。

確かに後日お取り寄せができないかとwebで調べてみたのですが、あるにはあったんですが「完全予約制・入荷があれば予約の順に発送」。

うわー!貴重な物をいただいちゃったんだ・・・
まさに、地元ならではの食材ですね☆


次に出てきたこの魚も見たことがありません。


親方に地元での呼び方を聞いたんですが(親方も正式名称は知らなかったので)、ごめんなさい、忘れちゃいましたσ(^◇^;)。

でも深海魚なんだそうです。
あまり採れないので、やなり地元でしか出回らないんだとか・・・

身は、白身。普通のお魚と同じく身をほぐして食べるのですが、親方によるとキモも(が?)美味しいとのこと。

さっそく食べてみると・・・とろ~ん! 

とろけて、じゅわーっと海の香り(?)キモの甘みが口に広がって、美味しいー!!!

キモを味わったら、今度は焼きたてで身離れがいいところをほじほじ。

これまた香ばしく淡泊な感じで、オイシーイ♪

頭と骨と皮だけを残して、すっかりキレイに食べてしまいました。

・・・と親方がお店の人に「お椀にお湯盛ってきて」。

なんだろう?と思ったら、そのお椀に残った頭や骨を入れてお出汁にして「おつゆにすると美味いんだよ~!」

ホントは骨酒にしても美味しいんだけど・・・とのこと。
どっちかっていうと内心、骨酒の方がよかったんだけどなー(^◇^;)なんて思いつつ・・・しっかり骨の髄までいただいちゃいました☆


親方が、「カレイの王様を食べさせてやるよ」

出てきたのは、アカガレイ。

カレイって、普通はもう少し大きいのを煮付けにするイメージなのですが、これは結構小さめのを塩焼きにして出してくれました。

親方曰く「これを食べちゃったら、もう他のカレイは食べられないよ~!」

 食べ方は「お箸は使わず、両手で身を持って左右に引っ張る」

・・・と、熱々で身離れがいいせいもあって、するっっっt! とキレイに骨から身がはずれます。

で、そのままお口へ。

魚自身の質の良い油で、皮までぱりっぱりに香ばしくて・・・

ん~ うまうまー!(○^~^○)

手についた油や塩味まで、きれいにぺろぺろなめちゃいました(^^:)


まだまだ寒い日本海側の夜。
日本酒の熱燗をちびちびいただきながら、海の幸の醍醐味を堪能してしまった輪島の夜でした。


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