2011年9月9日

工芸戦士の主戦場の1つ

今週はじめのこと。

とある地方で伝統的工芸品のプロデュースなんかも手がけている友人が、その産地のものづくりの担い手の方々と会話している様子が、facebookで近況として流れてきました。

その会話というのが「工芸戦士がぞくぞくとビッグサイトに集結している。考えるとすごいものだ」というもの。

その友人は普段から産地の方々と非常に親しく交流していて、facebookでもその様子がマメに載っているので面白く拝見しています。

でも、私自身は仕事柄交わしている内容は理解できるものの、その友人以外の担い手ご本人達を直接存じ上げているわけではないので、いつもは会話には参加するのを遠慮しています。

ところがその会話がその後、冗談調ではありますが「~戦ってきます」「いったい何個師団が繰り出しているのか~」「戦士としてがんばる~」「健闘を祈って~」などと、それも複数の担い手の方々との間で続いていくので、ついついそのテンション高く盛り上がっている会話の中に「いったい何があるんですか?」と入り込んでしまったのですが・・・


すると、今週の火曜日(9/6)から東京ビッグサイトにて「インターナショナルギフトショー」なんだという友人からの返事。

なるほど、それは日本でも最大級のビッグイベント、工芸を手がける戦士たちが販路開拓・拡大を行う日本国内での主戦場の1つ。
私の所にも日頃関わりのある企業さんからご案内が来ていたのを、すっかり失念していました。

で、さっそく私も急遽スケジュールをやりくりして、期間中のうち半日ほどその「主戦場」に様子を見に行ってみることにしました。




東京インターナショナル・ギフト・ショー、東京ビッグサイトの全館を使って4日間にわたって繰り広げられる、国内外からの出展企業2000以上、見込み来場者数のべ200,000人規模の「日本最大のパーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市」です。

私が日頃から大なり小なり関わらせていただいている企業さんも、多数出展しています。

とてもとても半日で会場全部を回ることはムリなので、ガイドを見ながら集中して回るホールを決めて入場すると、さっそく知り合いの企業を見つけました。



二葉苑(㈱二葉)です。

もともと代々江戸小紋の反物を染色している事業者なのですが、江戸小紋で使われる江戸小紋の染め物自体や、染色に使われる伊勢型紙の意匠を用いて、伝統的な柄を活かした小物をいろいろ商品開発して、欧州を中心に海外にも展開しています。

着物にあまりなじみのない若者や海外の方でも、値段的にも安く身の回りで日本的な柄を楽しむことができるので、徐々にアイテムも増えてきているようです。



写真は伊勢型紙自体をモチーフにしたカード(左)とお財布やポーチ(右)です。
このほかにも、女性がよく使うシュシュやバレッタ(髪飾り)などもありました。


残念ながら、今回は二葉苑の小林社長にはお目にかかれなかったのですが、ブースにいらした方に状況などを伺った後、また会場へ。


  
あちこちのブースをうろうろしながら立ち寄らせていただいた1つが、こちらの龍門堂。

木曽漆器を手がけているのですが、近年の生活様式からの要望に応えて、食洗機や電子レンジでも使うことのできる木曽漆器を商品開発しています。

確かに漆器類は私も好きですし、家でも使いたいと思うのですが、いかんせん高価な上に扱いが難しい(手軽に扱えない)ということもあって、ついつい購入には二の足を踏んでしまいます。




食洗機や電子レンジで使えるのはうれしいな・・・と思ってお話を伺ったのですが、購入するには少々お高め。やはり今の課題は生産コストと価格だということでした。

デザインもちょっとシンプルすぎかな。右の写真の手前がつやなし、奥がつやありで、若い人には比較的つやありの方がウケがよく、反対につやなしの方は日頃から漆器に触れている方からの感触がいいとのことですが、まだデザインの種類も多くはないようなので、価格とデザインが折り合ってくれば、買いたいなと思う商品でした。



また、その後会場内をうろうろし、最後にじっくり立ち寄ったのが燕研磨振興協同組合のブース。
新潟県の燕市は古くからナイフやスプーンなどの金属洋食器の産地として知られていて、現在でも国内で作られる金属洋食器の90%以上が燕産という圧倒的なシェアを誇っています。

その金属洋食器製造の中で育まれた金属加工技術、特に近年では金属の表面処理「磨き」の技術でも特に知られるように知られるようになっています。

有名なのが、ipodの裏面は燕で磨かれている、というもの。
また、燕の企業が作っているチタン真空二重構造のビアカップが、先年横浜で開催されたAPECでの乾杯と各国首脳への引き出物に採用されています。

そのほかにもパナソニックのレッツノートやパソコンの筐体・内部部品等の磨き加工、大きいモノでは自動車や工業プラントの表面加工なんかも燕で手がけられているそうです。

びっくりしたのは飛行機の翼も磨いているとのこと。

私は飛行機の翼なんて、そこまで繊細につるつるに鏡面加工しなくてもいいものだと思っていたのですが、実は翼の表面に少しでもでこぼこがあると、その分空気抵抗が大きくなってしまい燃料のコストがあがってしまったり、また上空では低温のため翼の表面に氷粒が付着してしまったりするので、実は鏡のようにつるつるにする必要があるのだそうです。

しかしながら、「磨き」は熟練した職人の手作業に頼る部分が多いため、1人2人でやっているような小さな事業者も多く、重労働でもあることから、ご多分に漏れず近年は事業者の高齢化が進むとともに後継者難が問題となっているとのこと。

燕でも一時期は4000ほどあった事業所が現在2000程度にまで減少し、しかも職人さんの年齢が50歳代では若手の方、主力は60~70歳代になってしまっているということです。

そこで、燕市と燕研磨振興協同組合では「磨き屋一番館」という施設を設置・運営して、県内外から研修生を受け入れて金属研磨業の後継者育成を行っているそうです。技術指導の中心となるのは、県から認定された卓越した技能を有す る「にいがた県央マイスター」の方々です。

3年間の研修期間を終えて、技術を習得した研修生の方々は燕市内の事業所に就職したり、中には自ら研磨業を起業される方もいらっしゃるそうです。


 写真は、「磨き屋一番館」で磨かれたステンレスカップです。

私は以前、ピールの泡がきめ細かく出てひと味違う、と有名な、燕の「磨き屋シンジケート」ブランドのビアカップを買ったことがあって、それは評判通りだったので、今回はブースでこの「おちょこ」をみて一目惚れしてしまい、今回、「見本市」であったにもかかわらず、お分けしてもらっちゃいました(笑)。

家に帰ってから、自室のパソコン机で撮ったので上手くお伝えできていないのですが、グラスの中の金メッキ部分はこれ以上ないくらいつるっつるです。

外側は、本当は白いものの上で撮ればよかったんですが、茶色のモバイルの上で撮ったので、茶色いカップのように見えますが、本当はぴかぴかの銀色で、鏡のようにつるつる、顔がしっかり映ります。

実はカップの側面にモバイルの「NEC」の文字がしっかり映っているのが、わかりますか?(笑)



このおちょこで、お気に入りのお酒を飲むのが本当に楽しみです。。。って、やっぱりお酒に戻っちゃうのが私らしいところかな・・・?






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